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身体の声

肉体を猛烈に酷使したときに、身体がみずから声をだすことがある。普段は頭で考えだされる声が、身体の力と頭の力の連携により声をだす。そしてそれは言葉となって表出される。

このときの精神状態は半ば恍惚としていて、意識が明晰とは懸け離れ、あたかも霞が掛かったように朦朧としている。酩酊しているのに似ている。緊張は無くむしろ鈍感になっているのだが、異常な集中力で身体が頭脳以上の働きをする。このとき確かに身体が主体になっている。

身体が言葉を発するためには、肉体が限界近くまで疲労せねばならない。だが、これだけでは十分ではない。あらかじめ頭脳の意識的な運動が前提となる。唯の肉体労働者であるだけでは身体の声を聞くことはできない。

身体の声は、身体のみならず蓄積された知的作業を介して、突発的に起こる現象であるらしい。