数学的理解による世界

「世界の中で理解できない最たることは、世界ができることである」とアインシュタインは言ったが、この言葉は些か古く感じられる。

というのは、数学の論理で導かれたものを真理の度合いの高い位置に置いているからだ。世界を理解したのではなくて、数学の論理で把握されたものを限定的に世界の理解としたのである。つまりこのとき世界は数学という純粋な言語によって切り取られたらこそ、理解が可能になった。逆に、数学的に表現されなければ世界の理解は厳密に共有されない。

世界がもし数学以外の論理で表現できたとしても、それは承認され難い。世界の理解は今のところ、数学的に理解をされるのを待っているのであり、その他の方法が見当たらない。数学と科学に反抗する精神は現実的ではない。